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キネ旬1位で評判だった「全身小説家」(原一男監督)の映画を観ました。
1992年にガンで亡くなった小説家・井上光晴の晩年の5年間を追ったドキュメンタリーです。
親交のあった埴谷雄高、野間宏それに瀬戸内寂聴が出てくるというので興味津々でした。
映画は、彼が弟子や生徒たちに教える様子、埴谷氏など友人などの証言、
そして最後彼のお葬式まで生々しく撮り続けています。
それらを通して彼の小説にかける思い、情熱がひしひしと伝わってきます。
映画としてはまさに一級品だと思います。

恥ずかしながら私は彼の作品を1冊も読んだことがありません。
それではこの映画を観て、彼の本を読んでみようかと思ったかというと、
正直読みたいいう気持ちが何故かわいてきませんでした。

何故だろうと観た後しばらく考えていると突然渥美清のことが頭に浮かびました。
私は渥美清の私生活のことはほとんど知りません。
でも、「男はつらいよ」の寅さんで充分なのです。
つまり映画という虚構の世界では、それを演じた人の私生活は必要ないのです。
小説の世界でも同じことが言えるのではないでしょうか?

つまり小説家の私生活、細かな言動が頭にあると、
すぅ~とその小説の世界に入ってゆきにくいのです。
もし、その作家の私生活まで大好きだったらまた違うかもしれません、
でも私は彼にそこまで没入できませんでした。
イメージを売り物にする人は素顔を晒してはいけない、これが鉄則だと思っています。
かのシェイクスピアという作家は実は偽名で、
本当は他の人のペンネームだという噂があるほど、彼の素性は明らかになっていません。
でも「ロミオとジュリエット」「マクベス」などは不朽の名作として親しまれているのです。
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映画「顔のないヒトラーたち」

娘にすすめられて「顔のないヒトラーたち」という映画を観ました。
驚いたことに、戦後20年頃、西ドイツの若ものたちは
アウシュヴィッツという地名すら知らなかったのです。
この映画の主人公、若き検事もよく知らなかったのです。
ニュルンベルグ裁判で禊は済んだ、ナチス党員だった国民はもとより
多くの国民は自国民の古い傷には触れようとせず、
次世代の若ものにもそのことはなるべく教えないようにしてきたのです。

しかしある時ひょんなことからアウシュヴィッツにいたナチス党員が教師をしていることが発覚し、
検事総長はこの新米検事に調査を任すことにしました。
ほとんど何も知らない検事は様々な難局にたたされます。
多くの資料は米軍が押収したまま放置、ナチス党員を探すのにも苦労します。
さらに思いもよらぬ真実にも遭遇します。

さまざま困難を乗り越えて、フランクフルトの検事たちは
アウシュヴィッツにいたナチス党員の17名を有罪を勝ち取ることができたのです。
そしてこの裁判によって全てのドイツ国民に、世界中の人びとに、
アウシュヴィッツでのホロコーストが知られることにとなったのです。

正義のため、自国の恥部を暴いてまでも真実にせまろうという勇気に深い感銘を覚えました。
久々にいい映画に出会えました。

映画「おみおくりの作法」

久しぶりにいい映画を観ました。
「おみおくりの作法」(U・パゾリーニ監督)のDVDであります。
あまり期待せずに観ていたのですが次第にその作品にひきこまれてゆきました。
暗いじめ~っとした雰囲気ではなく折々みせるユーモアがとてもよい。

ロンドン市の民生係のジョン・メイは孤独死していった人の遺品から身寄りの人を探し求め、
親族がいない場合は葬儀から埋葬まで一人で務め上げています。
几帳面で酒やタバコ、遊興といったことには無縁の世界で、食事も質素でいつも一人です。
彼の趣味といえば孤独死をした人びとの写真を自分のアルバムに貼り付けることでしょうか。

そのような中、死後何日か経って発見された男性の遺品の中から写真などを手がかりに、
一人列車に乗って身寄りの人を探しはじめました。
彼と一緒に生活したことのある女性や戦友、そして今は一人住まいしている娘など探りあてます。
その人達の現在の生活ぶりをおもんばかって、決して強要することなく葬儀の日取りを知らせて立ち去ります。
そんな仕事ぶりに業を煮やした若い上司は経費が掛かり過ぎるとしてクビを言い渡します。

で、孤独死したその男の葬儀にはジョン・メイの人柄にほだされたのか
尋ねた人びとや他の戦友など多くの人びと参列していました。
その時彼は……

これから先は言わないほうがよいでしょう、
作品でこの時の感動をじわ~と味わっていただきたいと思います。

この監督は小津安二郎に深く影響を受けたこと告白していますが、
淡々としていてしっかりとした絵作りにその雰囲気がよくあらわれているようです。

最後に、この映画タイトルはあの日本映画の「おくりびと」を
連想させるようでどうも似つかわしくないように感じておりますがいかがでしょう。
なお原題は「Still Life」です。

海街diary

映画「海街diary」(是枝裕和監督)を観ました。
鎌倉を舞台に、異母妹を迎えて4人姉妹だけのくらしぶりを描いています。
漫画が原作らしいのですが、映像がとてもきれいでよかった~。

桜のトンネルの下を自転車に乗せてもらい、その心地よさを満喫する14歳の少女すず。
浴衣姿の4人姉妹が庭で花火に興じる様は秀逸です。

つらいこと、悲しいことがいっぱいあるけれども、
片意地はらず、身のまわりの人を想いやり、やさしくゆっくり生きてゆく。
あの映画「細雪」とはずいぶん違った作品になりました。
中で「きれいなもんがちゃんときれいに思えるのが有り難い」
という言葉が印象に残りました。

http://umimachi.gaga.ne.jp/

映画『カンゾー先生』

映画『カンゾー先生』を久しぶりに観ました。
いい映画ですね~、柄本明が実にいい。
それに、粗野だけど若くて美しい麻生久美子、
更に世良公則、唐十郎の破天荒な活躍ぶりに思わず失笑しました。

終戦間近、岡山の漁港で町医者の医師が町の人々のために夜も昼も関係なく走り回ります。
往診するたびに、肝臓炎じゃと診断するためにカンゾー先生とあだ名されます。
庶民の苦しい生活など全く無視した高圧的軍人たちの監視の下でも、
人情豊かなで、のびのびとした漁港の人びとの様子がしっかりと描かれいます。

国のためより人びとのため、敵国の捕虜にも医師として全力を尽くします。
それでいて、年がら年中貧乏暮らしをしている無私無欲のカンゾー先生、
このような医者、今どうなんでしょうか?

ラストでピカドンの原子雲を目の当たりしたカンゾー先生は、
そこに戦争という人間同士が引き起こした忌まわしい罪過をみると同時に、
肥大した肝臓炎を思い浮かべるのです。

古い映画ですが、今でも色あせないすばらし作品だと思います。
もう一度言います、ほんといい映画です!!!
プロフィール

Hocco21

Author:Hocco21
手前、生国と発しますは
芸州・ひろしまです。
小さい折から、太田川の
産湯を使い、
長じましては宮島の弥山を
眺めてその日暮らし、
年金生活をおくってます。
さあて、ここに
取りいだしたるは、
本や音楽のお話、
また、映画や写真の話題、
それに、楽しい話に、
くだらねー話と、もり沢山!
御用とお急ぎでない方、
さあて、お立会い!

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