暗譜

今、ゼストセラーになっている「天地明察」(冲方 丁)という本を
会社の若い女性に薦められ借りて読みました。大変面白かったです。
主人公の安井算哲(後に渋川春海)は囲碁の名家の跡継ぎでが、
その彼が日本ではじめて日本人自身による暦を完成させるまでのお話です。

所で、作品の中に、彼の好敵手として、囲碁の本因坊道策が登場します。
この本因坊道策という人、囲碁を少しかじったことのある人なら、
どなたも御存じの囲碁界の大天才です。
後世の多くの棋士が彼こそ史上最強の棋士だろうと認めているそうです。

それは、彼の打った碁が記録(それを棋譜といいます)として
残っているからです。
つまり、約300年前の囲碁の対局の様子が棋譜をもとに再現できるわけです。
また、現在のプロの棋士は本因坊道策棋譜を全部暗譜しているそうです。
勿論、自分の打った碁も全て暗譜しているそうです。
信じられますか?

私囲碁が好きで、時々、NHKの囲碁番組を見ますが、
対局が早く終わった場合、二人がもう一度、最初から対局再現をしてくれます。
なおかつ、途中で、「この時、こう打ったら…」と全く別の場面と展開し、
「あ~、そうか」と言ってまた、元に戻して、局の再現しはじめます。
あの早碁ですら、いとも簡単に暗譜しちゃうんです。
まったく、ほんとうにこの人たちの頭の中は
どうなっているんだとかんぐりたくなります。

棋譜といえば楽譜というのもありますね。
昔、長男が広島少年合唱隊に入っていました。
歴史のある少年合唱団で、彼が6年生の時、
中国・重慶に演奏旅行したこともあります。

その広島少年合唱隊があの小澤征爾と共演するという機会に
恵まれたことがあります。
演目はブリテンの「戦争レクイエム」でした。
「えっ、何、その曲?」と言われる方も多いともいます。
そう、余り演奏されることのない、ちょっとむずかしい曲です。
(たしか、8月6日に近く、ヒロシマということがあったのかもしれません。)
広島少年合唱隊も一生懸命練習していたようです。

そして、私たち家族はゲネプロ(直前の合同演奏)を
聴かせていただくという僥倖に恵まれました。
広島交響楽団(?)、3人の独唱者、大人の合唱団、
そして、広島少年合唱隊の準備が整った所へ、
あの小澤征爾がさっそうと登場しました。
いつものように髪がボサボサで。

私は演奏がはじまるとすぐに気づきました。
何と、彼の所に楽譜がないのです。
つまり、暗譜で指揮しているのです。
そして、何ということか、少年合唱隊が歌う所になると
彼も子どもたちを見つめながら一緒に歌い出したのです。

指揮者というのは曲の流れを覚えていて、
適当に棒を振ればいいんだと思っていた私の想像を
見事打ち砕いてくれました。
だって、あれだけ数多くの楽器と声楽パートのぶ厚い楽譜
人間が暗譜できるわけがないでしょ?。
しかも、演奏時間が90分余りの曲ですよ!
人間のワザを超えてます。
彼は演奏会で演奏する曲のほとんど暗譜で指揮しているそうです。

もう一人、暗譜で演奏する有名な指揮者がいました。
アナトゥーロ・トスカニーニ(1867~1957年)です。
彼もヴェルディやプッチーニといった作曲家のオペラなど
すべて暗譜で指揮していたそうです。
ある人が意地悪で、あるオペラのパートを楽譜に書いてくれと言われた時、
彼はそのパートを寸分違わず書いたという有名なエピソードあります。

ここまで書いて、つくづく自分が情けなくなりました。
面白そうな本だなと思って、その本を買って帰り、読み始めた所、
半ばにして、おや?確か、これ読んだことがあるぞ~。
そう、本棚を探すと同じ本が出てくるのです。
同じ、曲のCDを2度買いしたことが何回あるか!
年をとるとその傾向がますます強くなってくるような気がします。

どうして、彼らと私にこうも隔たりがあるのでしょうか?
神様、ちょっと不公平ではありませんか?
仏様、彼らほどとは言いません、
せめて、読んだ全て本の大まかなあらすじを、
聴いた音楽の流れだけでも、
観た映画のカット、カットを私の頭の中に留めてやっておいてはくれませんか!
厚かましいお願いついでに、これらを理解できる能力も!
どうかお慈悲でございます。
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プロフィール

Hocco21

Author:Hocco21
手前、生国と発しますは
芸州・ひろしまです。
小さい折から、太田川の
産湯を使い、
長じましては宮島の弥山を
眺めてその日暮らし、
年金生活をおくってます。
さあて、ここに
取りいだしたるは、
本や音楽のお話、
また、映画や写真の話題、
それに、楽しい話に、
くだらねー話と、もり沢山!
御用とお急ぎでない方、
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