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話を聞くということ

大変楽しみにしていたカープ観戦が雨のため中止になり、
仕方なく駅前のビヤホールで例のジジババ・トリオに
3人の女性でその溜飲をさげました。
そして帰りの電車の中で、今日はよく喋ったなーと思うと同時に、
なぜか、20年以上昔の事をふと思い起こしました。

当時、私はテレビ局でディレクターをしていましたが、
8月6日の少し前の頃でしょうか、
あの「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さんをスタジオにお迎えすることができました。
司会をしていた脇田アナウンサーには、中沢氏のプロフィールと
原作本のさわりの部分に付箋をつけて手渡し、
このインタビュー狙い等を説明しました。
あえて台本は書きませんでした。

生本番前の打ち合わせで、脇田アナは中沢氏の
話し方のテンポ、口調、間合いをはかっているようでした。
本番です。脇田アナが短い言葉で誘い水を向けると、
中沢氏はとうとうと被爆の惨状を話し始められました。
やがて、脇田アナの眼は潤みはじめ、
絵作り・カット割りをしていた私もつられていました。
脇田アナは時折「それで、○○はどうなったんです?」
と話がそれないようにコントロールするだけで、
あとは、「へぇ~」「う~ん」、それに、眼でうなずくことだけでした。
中沢氏は、一気呵成に、また間をおいて慎重に言葉を選びながら
被曝直後の様子を語られました。

放送業界でMC(master of ceremonies)という言葉があります。
その場の進行を状況に合わせてコントロールする人のことです。
大切なゲストがお見えになれば、
その方の話したいこと、想いを引き出すのがMCの役目です。
そこにはMCの立場、思いはさほど重要ではないのです。
聞いている、見ている人が今どう感じ、何を思っているかを判断し、
それをゲストから引き出すのがMCの務めなのです。
20年以上前のことで、話の内容はほとんど覚えていませんが、
彼、脇田アナウンサーのこうした対応ぶりだけが記憶にあります。

では何故、酔った帰りにこんなことを思い出したのか?
それは、今夜の飲み会で、キリンビールと広電の若い女性たちが、
私をあの時の中沢啓治さんのような心地よい想いにさせてくれたからです。
この二人の聞き上手にのせられて、口の軽いこの年寄りは
私や家内の奇行、乱行、アンビリーバボーな言動を
とうとうと喋りまくったというわけです。
まさに、「話し上手は聞き上手」です。
勿論、中沢氏のような高邁な思いなど持つはずもなく、
ただただ実社会を離れて没交渉になりがちなこの年寄りの
思いをねぎらっていただいたというわけであります。
とかく「自分は」、「私は」、と己のことばかり話したがる昨今でありますが、
自分の事はさて置き、こうして年寄りをたててくれるこの優しさ、気配り、
ほんとうに有り難いことだと列車の中で感じ入ったしだいであります。
プロフィール

Hocco21

Author:Hocco21
手前、生国と発しますは
芸州・ひろしまです。
小さい折から、太田川の
産湯を使い、
長じましては宮島の弥山を
眺めてその日暮らし、
年金生活をおくってます。
さあて、ここに
取りいだしたるは、
本や音楽のお話、
また、映画や写真の話題、
それに、楽しい話に、
くだらねー話と、もり沢山!
御用とお急ぎでない方、
さあて、お立会い!

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