もののふ

先日亡くなられた俳優の高倉健さんは
多くを語らない、無口な人というイメージが強かったように思っています。
多くを語らないということは、語らなくとやっていけるという信念のあるということ。
でんと腹の座った生き方だできるということではないかと思っています。

明治生まれの私の父も無口だった、そしてとても怖かった、
ほんとうに怖かった、震え上がるほど。
私がまだ子どもの頃、広島城内あった広場で剣道の大会見ていた時のことです。
しばらくじーっと見ていた父が、「あの右側の剣士が優勝する」と言いました。
私も最初は勇ましくて楽しく見ていたのですが、
途中から退屈になり「はよう帰ろうや~」
と、だだをこねると、「もうちょっと待っとれ」といわれ仕方なく見ていました。
すると、終にその剣士が優勝しましました。
「それみー、勝ったじゃろが!」と一言言って家路を急ぎました。

私が人となりになって、思い起こすに、剣道を能くした父にとってみれば、
自分の眼力が正しいかどうか見極めたかった。
そして、戦争によってボロ切れのようになって内地に帰り、
竹刀を持つことさえできなくなった自分へのもどかしさが
あったのではないだろうかと想像しております。

父はどこの戦地にいったか、どんなことがあったのか、家族には一切話しませんでした。
また市役所にいた頃、健康診断も一度も受けませんでした。
検査で不適格者と診断されるのを恐れたことだと母がこっそり話してくれました。
でも、彼の口からそんな泣き言や愚痴、不満を一切聞いたことがありませんでした。
ただ黙って淡々と日々の生活を送っていたように今にしてみれば思いおこされます。
そしてこれが明治の人だったんだな~と。

私のようにちょっとした事でも、べらべらと喋るのは自分に確固たる自信がなから、
それは自分の立場、考えを表明しておかないと不安だからではないでしょうか。
よく喋る人ほど、自信のない人かもしれません。
他人に何と言われようと、どのように思われようと、
物怖じすることなく、毅然として態度、行動で示せばいいことですから。

高倉健さんの 遺作『あなたへ』の映像を通してみると、
背筋がピント伸び、相手の顔をしっかりとみつめている。
そして黙ってすっと行動に移す。
これが80歳を過ぎた男の姿とは到底思えません。
彼も日本の良き伝統をもった、一人の「もののふ」だったですね。
こんな男優が少なくなって、ほんとうに残念であります。
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