「女蕩し」

木村伊兵衛という写真家のことはお聞きになったことがあろうかと思います。
土門拳と並び称される日本写真家の大家、双璧です。

ある時、彼は女優高峰秀子の写真を撮るため、宅を訪れました。
その時のいきさつを彼女はこう書いています。

「約束の時間ぴったりに玄関のチャイムが鳴って、私が出てゆくと、
ドアの外に木村さんがポツンと一人立っていた。」
「とにかくフラリと家に入っていきたのは
カメラを持たぬ背広姿の木村さんだけだった。
私は黒無地の結城の着物で、顔もふだん着のスッピンだった。」

木村氏の聞き取りにくい話に相槌をうっていたら、
「と、木村氏の右手がソロリと上衣のポケットに手を入れたと思ったら、
その手に吊り上げられるようにしてライカが現れた。」

彼女はあわてて、身繕いなどなど問うと
「なんにもしなくていいです。そこに自然にいてくれればいいです。」
「撮影は三十分足らずで終わり、木村さんはぬるくなったお茶を
スーと喉に流し込むと、『お邪魔しましたね、じゃ、ごめんください』
と、ふらりと玄関を出て行ったのである。」

高峰秀子_convert_20150703111717

後日、「アサヒグラフ」に掲載された自分の写真を見て、彼女は
「木村伊兵衛、こういう人を『女蕩(たら)し』というのだな、
と、私はおもった。」

粋ですね~、この時ばかりは、私も「女蕩し」になりたいと思った。
大曲の美女_convert_20150703111749
(秋田・大曲の美人です!)
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芸州・ひろしまです。
小さい折から、太田川の
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長じましては宮島の弥山を
眺めてその日暮らし、
年金生活をおくってます。
さあて、ここに
取りいだしたるは、
本や音楽のお話、
また、映画や写真の話題、
それに、楽しい話に、
くだらねー話と、もり沢山!
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