FC2ブログ

井の中の蛙

大佛次郎『天皇の世紀』第1巻のみ読みました。
さすが加藤周一氏が絶賛しているだけあって、歴史に対する視点が素晴らしい。
例えばこうである。
『幕府時代の日本人は、住んでいる土地から一生離れないのが原則であった。
・・・都市が発達するに従って、商人の活動がさかんとなり、
農民も村を離れて労力を求める街に出て働くようになった。
世の中の組織が変わってきたのである。
よほど旅慣れたものでないと、旅の苦労を人が嫌がった』

ほとんどの人々は自分の澄んでいる国から外に出ることなく、
情報もあてにならない人伝であった。
お上の言うことが全てであった。こうした中で黒船がやって来る。
最初は宮中はもとより、幕府も旧弊にこだりは頑なに異国の排除しようとした。
自分たちだけの身分さえこれまで通りであればよかったのである。
一部の人たちは多少海外の情報を得ていたが、
日本国民ほぼ全員が井の中の蛙だったのである。

『夏目漱石先生の追憶』

「しかし自分の中にいる極端なエゴイストに言わせれば、自分にとっては先生が俳句がうまかろうが、まずかろうが、英文学に通じていようがいまいが、そんな事はどうでもよかった。いわんや先生が大文豪になろうがなるまいが、そんなことは問題にも何もならなかった。むしろ先生がいつまでも名もないただの学校の先生であってくれたほうがよかったではないかというような気がするくらいである。先生が大家にならなかったら少なくももっと長生きをされたであろうという気がするのである。」

寺田寅彦随筆集第3巻(岩波文庫)より

『吾輩は猫である』に出てくる水島寒月君が寺田寅彦である。

船戸与一の『虹の谷の五月』を読んで

やはり船戸与一は良い、最高だ!!! 
ある人がこの小説は語彙が不足していると言っておられました。
その時、私は夏目漱石の『吾輩は猫である』という小説を思い浮かべました。
「吾輩」が小説のはじめあたりで、「言語道断」を「言語同断」と言っているのです。
最初、誤植かと思いました。漱石ともあろう人が何故?
やがて、ある時、腑に落ちました。
これは猫が語っているのですよね、だから、これでいいのですね。

これと同じで、この小説の語り手は13~15歳の少年です。
でもその語り口調は絵の具の原色を使ったように飾らぬ素直さがあります。
したがって大変読みやすい。
また、そのボキャブラリーの少なさを補って余りある誠実さ、
人として真摯に生きてゆく姿、これが素晴らしい!!!
 とかく難しい文言、モノをよく知っている人が偉い人だと思われがちですが、
本当に偉大な人は多くを語らず、行動によって
自分自身のためではなく、人のために働くひとではないでしょうか?

神様ゲーム

この四、五日ある推理小説に悩まされ続けました。
麻耶雄嵩の「神様ゲーム」と「さよなら神様」という2冊の本です。
神様が何故か男子小学生に変身して、周りに起こる殺人事件の犯人を告げるのです。
この2冊の本の主人公は違っていますが、そのお告げは彼らだけに知らされるのです。
で、私は読んでいくうち意外な事実にドギマギし、再び読み直すという作業に何度か迫られました。
すでに読まれた方にはおわかりだと思いますが、読了後も何か釈然としないというか、
サンマの骨が喉に残ったような感じがするのではないでしょうか?
でも、面白いですよ~、推理小説ファンでまだ読まれてない方、
ぜひともチャレンジしてみてください!!!
ちなみに、私は今日ブックオフで同じ作家の「蛍」という名の小説を買って帰りました(o^。^o)

本を読む

s_DSCF1313.jpg

東京に来ておよそ8ヶ月、荻窪、神田、吉祥寺など様々な古本屋さんから
かき集めた本が娘の本棚の最上部にあります。(「ナウシカ」は彼女の本です)
まだリビングのそばにもうず高く積まれています。
ブクログというサイトに購入した本はほとんど登録しておりますが、
その数130冊あまりになります。
でもサイトの記録によりますとおよそ半数あまりしか読んでいないことになります。
地震が来たら大変です!!!さあ、どうしましょうか?
しかも来春にはこれら全部撤収しなければなりません(⌒-⌒;)

さて、最近の読んだ本で面白かった本、そうでもなかった本を少し書いてみます。
まず、今ハマりつつあるのが今野敏の「隠蔽捜査」シリーズです。
テレビでドラマにもなったのでご存知のかたも多いとおもいます。
私はそんなこと全く知らず偶然手にしたのです。
この主人公の竜崎真也警視長がユニークなキャラクターで実に面白い!!!
このエリート警察官は融通がきかないというか、人付き合いの全く悪い男で、
原理原則をモットーに周りの人々に様々な波紋をおこします。
他の警官からは「変人」とやじられ、妻には「唐変木」と呼ばれています。

でも原理原則というのは、建前論やスジ論と違います。
後者の多くははこれまでの習慣、慣例、伝統などからきています。
原理原則とは警察官とはどうあるべきかという根本問題で、
それ突き詰めると憲法にまでさかのぼります。
仲間の中傷や流言飛語には物ともせず、迷った時、
彼はその根本にたちかえって行動をおこします。
だから大きなブレは無く、次第にシンパは増えてゆきます。
彼は東大法科を出て警察官のエリートに進みますが、
それは自分の権力を誇示するためではなく、単なる出世のためではなかったのです。
警察機構のなかでこの原理原則が通るようなシステムを目指すためにこの大学を出たのです。
ある事件で降格されますが、それは彼にとってさほどショックを受けるものではなかったようです。
とまあ、まだ2冊しか読んでいないですが、こんな骨太の主人公に惚れ込んだのです。


次に例に挙げたいのが宮本輝の「錦繍」です。
彼の代表作の一作ということで期待して読みました。
この作品は元夫婦の手紙のやり取りだけで構成されています。
しかしながら私は1/3ほどで読むのを断念しました。
双方の手紙の一つひとつが文庫本の40ページにも及ぶのです。
これを手書きにし封筒に入れたらどれで程の厚さになるでしょう。
そこで思い出したのがドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」です。
この中である人物の話は数ページにも渡って延々と続きます。
その間、合いの手は入りません。ロシア人ってこんな会話をするのでしょうか?
やはり私は純文学には向かないようです。
まして男と女が惚れた腫れた、くっついた離れたというのはもうこの歳になってはどうも・・・

そして最後までご清聴ありがとございました。
最後に一言、今挙げた2作品は世に名作と謳われた作品であります。
本というのはその人の成り立ち、感じ方などによって全て違うのは当然事だとおもいます。
さて皆様はどんな作品を読まれているのでしょうか?
プロフィール

Hocco21

Author:Hocco21
手前、生国と発しますは
芸州・ひろしまです。
小さい折から、太田川の
産湯を使い、
長じましては宮島の弥山を
眺めてその日暮らし、
年金生活をおくってます。
さあて、ここに
取りいだしたるは、
本や音楽のお話、
また、映画や写真の話題、
それに、楽しい話に、
くだらねー話と、もり沢山!
御用とお急ぎでない方、
さあて、お立会い!

この度、「カテゴリー」の欄に
「私のお気に入り」という項目を
作成しました。
御用とお急ぎの方、
この「私のお気に入り」を
クリックてみてください。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード